【医師監修】腸内フローラに棲む「デブ菌と痩せ菌」

デブ菌 痩せ菌

腸内フローラは人それぞれ違いがありますが、その多くの腸内細菌の中でもデブ菌と痩せ菌は、ダイエットに大きく関係してきます。
あなたの腸には「デブ菌と痩せ菌」、どっちが棲んでいるのでしょうか?

デブ菌「ファーミキューテス類」・痩せ菌「バクテロイデーテス類」

腸内には様々な菌がいますが、その中でも「ファーミキューテス類」と呼ばれている腸内細菌類は通称”デブ菌”と呼ばれ、その反対に「バクテロイデーテス類」と呼ばれている腸内細菌は通称”痩せ菌”と呼ばれています。

なぜこのような名前がついたのでしょうか?

この研究を始めたのは、微生物学者のアメリカのジェフリー・ゴードン博士で、痩せている人と太っている人の腸内環境に違いがあるのかどうかを研究していく過程で、痩せている人の腸内にはデブ菌「ファーミキューテス類」よりも、痩せ菌「バクテロイデーテス類」が存在していることを証明しました。

デブ菌「ファーミキューテス類」は、栄養を吸収するために必要な腸内細菌で、この菌が減少してしまうと栄養を腸内で吸収することができなくなってしまいますが、このデブ菌「ファーミキューテス類」が多くなりすぎてしまうと、脂肪を必要以上に溜めこんでしまい、結果的に太りやすくなってしまいます。

デブ菌「ファーミキューテス類」に分類されているどの固有の菌が主な働きをしているのかは現在も研究している段階ですが、腸内環境が肥満とどのような関係があるのかを示すことができた、貴重な研究であったとされています。

その反対に痩せ菌「バクテロイデーテス類」は、短鎖脂肪酸を生成するために必要な菌であり、この菌が多くなると脂肪の吸収を抑制してくれるだけでなく脂肪燃焼を促してくれますが、この菌が多くなりすぎると必要な脂肪まで燃焼されてしまいます。

そのため、どちらの菌もバランスよく腸内で働いてもらうためには、バランスが重要になってくるのです。
理想的なバランスは、「デブ菌4・痩せ菌6」と言われています。

また、デブ菌は多くなりすぎると、おならが増えてしまいます。

おならを増やすのは、腸内の”悪玉菌”が関係してくることを知っている人は多いと思いますが、実はこのデブ菌は悪玉菌に属しておらず、デブ菌も痩せ菌も「日和見菌」に分類されているのです。

日和見菌は腸内で優勢な方に味方するので、善玉菌が優勢であれば腸内環境も悪化しませんが、デブ菌は栄養分を体内に吸収しようとするため、動物性たんぱく質や脂肪の多い食事などを多く摂取するとデブ菌の働きにって栄養が吸収されやすくなり、これらが悪玉菌のウェルシュ菌の好物となるため、おなら増加につながってしまうのです。

「糞便移植」で腸内フローラを改善する方法も

薬や病気の影響によって腸内の環境やバランスが崩れてしまったり、原因不明の難治性「潰瘍性大腸炎」などを患っている場合、重症になってしまうと大腸そのものを摘出しなければならなくなります。

このような病気にかかってしまった場合、腸内フローラのバランスが悪く、様々な不調に悩まされてしまうでしょう。

しかし、ここに健康な腸内細菌を持っている人の便を移植すると、腸内環境ががらっと変わると同時に病気が快復すると言われています。
この方法は「糞便移植」と呼ばれるもので、既に日本でも実施されています。

原始的な方法になりますが、これによって快復に向かっている方がいるのも事実です。

このような方法があると聞くと、他人の便をそのまま自分の腸内に移植するのかと思われがちですが、実際には健康な人の便を生理食塩水で溶かし、フィルターでろ過した後に盲腸付近へ液体を注入するので、便を直接入れるわけではありません。

また、ドナーになれる人にも規定があり、20歳以上で寄生虫やウイルス感染がなく、患者本人の承認がないとドナーになることができません。
現在はまだ発展途中で認知度の低い治療方法ですが、今後はさらに発展していく可能性のある分野と言えるでしょう。

腸内フローラを自分でチェックする方法とは?

腸内フローラは健康にも深く関係してくる部分で、きちんと環境が整っていないと便秘や下痢を繰り返したりきちんと栄養が吸収されなくなったりするだけでなく、体の免疫力低下にも繋がってしまいます。

しかし、腸内フローラが整っているかどうかを調べるためには、病院できちんとした大腸検査を受けるしかありませんが、費用がかかってしまうだけでなく気軽にチェックするというわけにもいきません。

腸内フローラがどんな状態なのか知りたい場合には、自宅でできるセルフチェックから始めてみましょう。

チェック1 便の状態

便で毎日健康チェックをすることができます。
どのような状態で出てきているのかを水に流す前に確認してみましょう。

形がバナナ、適度な水分がある便

理想的な便の状態です。
さらに臭いがきつくなく、黄土色で軽く水に浮いていれば全く問題ないでしょう。

このような便であれば、腸内で善玉菌と悪玉菌がバランスの良い状態でいることがわかります。

毎日排便がない、便秘気味

毎日排便がなく便がかための場合、腸内のバランスが崩れている可能性があります。

通常は、腸内で便が時速10cm程度の速さで進んでいきますが、これよりも遅くなってしまうと水分がどんどん吸収されてしまい、便もかたくなってしまいます。

水分の吸収された便は水に沈み、色も黒くなっていきます。

下痢気味、軟便気味

水分量が多くて便の形が崩れたり、少し下痢気味の場合は一緒に善玉菌が排出されてしまうため、腸内フローラも乱れてしまいます。
善玉菌が減ってしまうと悪玉菌が優位になり、様々な体の不調が引き起こされる可能性があります。

チェック2 おなら、便のニオイ

腸内フローラが整っていると善玉菌が優勢となり、腸内は弱酸性になっているので、おならも便の匂いも発生しないことが多いです。

でも悪玉菌が優勢になってしまうと、便が腸内で腐敗して臭いが強くなったり、鼻をつくような臭いが発生しやすくなります。
また野菜や果物を食事に多く取り入れている場合と、肉料理を取り入れている場合にも臭いに違いがあります。

チェック3 腸内フローラのバランス

腸内フローラが整っているかどうか知るために、便を専門の機関に郵送してバランスを調べてもらうことができます。
申込みをすると専用のキットが送られてくるので、その手順に従って便を送ると数週間程度で結果が手元に届きます。

これらの検査によって、今まで悩んでいた便に対してのアドバイスや肥満との関係性、細菌の割合や腸内の菌の構成など、様々な項目から自分の腸内がどのような環境なのか、腸のタイプがどんなタイプなのか、見えないけど気になる部分が全て分かるようになっています。

自分の腸内フローラの状態が数値で確認できるので、気になる方はチェックしてみましょう。

腸内に多いのはデブ菌?痩せ菌?自分でチェックしてみよう!

自分の腸内フローラはどうなっているのか、いくつかの項目に当てはめるだけで簡単にチェックすることができます。
デブ菌と痩せ菌、どちらが多くなっているのか答えてみましょう。

合計

これらの項目がいくつ当てはまるかで腸内フローラの状態を確認することもできます。

・該当項目0~1個
痩せ菌が優位で、デブ菌は少ない状態

・該当項目2~4個
痩せ菌とデブ菌が半々の状態

・該当項目5~8個
痩せ菌が若干少なく、デブ菌が増えている状態

・該当項目9個以上
痩せ菌が極めて少なく、デブ菌が圧倒的に優位な状態

自分の腸内フローラの状態が分かったでしょうか?
これによってあまり良い結果にならなかった場合には、善玉菌を増やしていけるように対策をとりましょう。

善玉菌は、人によって良い菌を作り出してくれます。
主に乳酸菌やビフィズス菌はその代表的な菌で、小腸で吸収されなかった食物繊維や糖類などを発酵させて、体に役立つ物質を作ってくれます。

善玉菌を増やすと同時に善玉菌を優勢にしておき、その味方になってくれる痩せ菌を増やしていくと、腸内フローラの働きも変化していきます。
年齢を重ねていくと腸の働きも衰えてきて、消化酵素の分泌が減少していき、腸の動きが鈍くなることで、腸全体の動きがゆっくりになりがちです。

そうなると腸内フローラも変わってきてしまうため、年齢と共に自分に合った腸内ケアをしていくことが大切です。
腸内フローラの状態を知って、健康な腸を維持しましょう。