摂取した食べ物は胃で分解されてから腸で消化吸収が行われ、栄養は体に吸収されて血液を通じて各細胞に届き、吸収されなかったものは老廃物として排出が促されます。
このサイクルにより人の健康と美容は保たれているのですが、腸疲労を起こして様々な不調が表れることがあります。
今回は腸疲労の原因や疲れ具合のチェック、腸疲労を改善する方法などについてご紹介しましょう。
目次
腸疲労の原因とは?
腸疲労とは腸に負担がかかり続けたことで疲れている状態を指し、その影響で腸の動きが悪くなって様々な不調を引き起こしてしまうとされています。
様々な原因がありますが、主な原因は食生活にあると考えられる>でしょう。
例えば、夏になると暑さから冷たい食べ物や飲み物ばかりを求めてしまいがちです。
暑いからと冷たい食事ばかり取ると腸の動きが鈍り、それにより腸疲労を起こしてしまいます。
また、食欲が少ない時に栄養を補うためにサプリメントに頼る人も多いと思いますが、それも腸疲労を引き起こす原因の1つです。
本来、サプリメントは普段の食事で足りないものを補うために服用する健康補助食品なので食事そのものにはなりません。
食事を通じて腸を活発にさせないと腸疲労を起こし、せっかくサプリメントをとっても消化吸収が悪くなり栄養を補うことが難しくなるでしょう。
腸に負担を掛けないよう消化に良い食事にこころがけ、腸疲労を予防していく必要があります。
だからと言って、食べ過ぎや飲み過ぎも腸に負担をかけるため、腸疲労につながってしまいます。
食欲が低下する夏場だけではなく、飲み会や外食が増える時期も腸疲労を起こしやすいので注意が必要です。
腸疲労になるとどんな不調が表れるのか?
腸疲労になると主に4つの不調が表れますが、具体的にどんな不調が起きるのか確認していきましょう。
・食べ物の消化吸収機能が低下
腸は胃で分解された食べ物を消化し、栄養を吸収する役割があります。
しかし、腸に負担がかかって腸疲労が起きると消化吸収機能が低下するため、栄養が十分に吸収されない可能性があるでしょう。
栄養が吸収されないと新しい細胞が作られないので、肌荒れや髪や爪にツヤがなくなる、体力や免疫力の低下など、美容や健康に悪影響を与えます。
・水分を吸収する機能の低下
水分も食べ物の栄養と一緒に小腸で大半が吸収され、残りは大腸で吸収されます。
人間の体は6割が水でできており、そのうち血液は9割が水です。
つまり吸収された水は血液として体に流れ、酸素や栄養の供給に関わっています。
また、大腸は吸収されなかった食べ物のカスが集まりますが、小腸を通過した水分を吸収することでカスが固まりとなり、便として排出される仕組みです。
水分を吸収する機能が低下するとカスは水を吸い過ぎて柔らかい便となり、下痢を起こしやすくします。
・便を排出する機能の低下
腸疲労を起こすと便を体内に溜め込みやすい体になってしまうでしょう。
便を体外に排出させるためには大腸の蠕動運動が重要ですが、疲労した状態だと動きが悪くなるので便の排出が促されにくくなります。
便は長く体内に停滞することになるので、水分が吸収されて硬くなって便秘につながり、ますます排出が困難な環境を生み出すでしょう。
便は老廃物の固まりなので長く留まると腸内で悪玉菌が増え、有害物質を発生させて体に吸収されることで、血液を通じて毒素が回り肌荒れなどを引き起こしてしまいます。
便秘は肌だけではなく肥満にもつながり、また無理に硬い便を排出すると切れ痔やイボ痔を誘発する可能性もあるでしょう。
・絨毛が弱る
絨毛とは小腸の粘膜にある突起物で、健康な腸なら無数に生えていて、まるでふかふかの絨毯に似ています。
突起が多いと粘膜の表面積が増えるので栄養の吸収が高まり、同時にバリア機能も向上するので細菌やウイルスの侵入を抑え、ストレスに対する耐性もアップします。
ところが、腸に負担がかかり腸疲労を起こすと栄養の吸収力が悪くなり、絨毛がどんどん少なくなってしまいます。
それに加えて腸は体の免疫力と直結しており、負担のかかった腸の粘膜を保護するために体内のグルタミンが大量に消費しますが、そのグルタミンなど保護に関わる栄養が不足するため粘膜が委縮し、絨毛が薄くなり弱ってしまうのです。
絨毛が弱まれば、ますます栄養の吸収は阻害され、同時に免疫力も下がるので感染症も引き起こしやすくなり、ストレスの耐性も弱まるので改善が遅くなってしまいます。
腸疲労のサイン
体の外から腸の状態を見ることはできませんが、体の状態から腸疲労を起こしているかどうかサインを知ることは可能です。
便秘や下痢が起きやすい、悪臭のおならを出すことが多い場合は、腸の機能が衰えている証拠なので腸疲労を起こしている可能性があるでしょう。
上記でも説明しましたが、便秘は大腸の蠕動運動の低下、下痢は水分の吸収機能が低下したことで起きます。
悪臭のおならは消化吸収機能が衰え、腸内環境が乱れて悪玉菌が優位なり、消化されなかった食べ物は悪玉菌のエサとなり腐敗するため、悪臭のするガスが出やすくなるのです。
また、腸はストレスに弱いため、上手く発散できない日々が続くと腸疲労はますます悪化していくでしょう。
腸の疲れ具合をチェックしてみよう
腸の疲れ具合は人それぞれ異なりますが、自分がどのくらい疲れているのか知りたい方は多いでしょう。
疲れ具合をチェックする方法があるので、次の項目から自分が当てはまる項目の数をチェックしてみてください。
・動物性タンパク質中心の食事をしている
・甘いものが好きでよく食べている
・お酒をよく飲む
・野菜や果物を食べることが少ない
・1日の食事の回数にバラつきがある
・お茶や水など水分を取ることが少ない
・食後にぽっこり下腹部が出やすい
・運動する機会が少ない
・1日の睡眠が6時間以下である
・ストレスを感じることが多い
以上の項目のうち、1つでも当てはまれば腸が疲れている可能性があります。
チェックした数が1~3個の人は腸疲労になってはいないものの、予備軍なので疲労寸前であることを理解しましょう。
4~7個の人は少し腸疲労を起こしている状態なので、早めの対策が求められます。
チェックした数が8個以上の人は過度の腸疲労に陥っている可能性があるので、すぐに腸疲労を回復に取り組みましょう。
腸疲労を改善させるには?
自身の腸疲労度が明らかになったところで、ここからは腸疲労をどのように回復させるのか解消テクニックをご紹介していきましょう。
胃腸を休めるための断食をする
1日3食規則正しい食生活をすることは体力維持や栄養バランスに効果的ですが、それだけではありません。
食事を抜いてしまうとその分1回の食事量が多くなり間食も多くなってしまうので、3食きっちり食べることが好ましいです。
食べ過ぎや間食は、胃腸の吸収・消化が絶え間なく稼働し続けるけるため、体に負担がかかってしまいます。
その結果、腸の血液が不足してしまうといった悪循環が起きてしまうのです。
大腸・小腸の機能は食べ物を消化したり吸収したりする場所ですが、機能の低下によって自律神経のバランスを崩してしまうこともあります。
腸内環境が悪化する原因にもなるので腸疲労を感じたら、半日もしくは1日程度食事をとらないプチ断食をするようにしましょう。
腸内をデトックスすることによって消化・吸収機能が向上し、精神的バランスも取りやすくなります。
食事をとらないことに抵抗がある人は、酵素ドリンク、スムージー、りんごなどに置き換えてみる方法でも回復させることができます。
温かい飲み物で腸の流れを良くする
腸内は水分が不足すると食べ物のカスが乾燥してしまい、腸の機能が低下してしまいます。
また、水分は体内の消化液として大量に使われるため、腸疲労を回復させるためには水分が必要不可欠です。
冷たい飲み物は腸の働きを鈍くさせてしまうので、温かいお湯またはお茶などで補給するようにしましょう。
紅茶などに入れる砂糖は、「糖反射」と言って砂糖を摂取することで腸の動きが停滞してしまうので、できるだけノンシュガーの飲み物を選ぶようにしてください。
2種類の食物繊維をとる習慣を
食物繊維の摂取は腸に蓄積した便や毒素などを取り除くのに効果的な栄養素です。
腸疲労が原因で便を出す力が低下している人は、食物繊維を意識してとるようにしましょう。
食物繊維には水分を吸収する不溶性食物繊維と、老廃物を絡めて取る水溶性食物繊維の2種類に分類されます。
これらの食物繊維をそれぞれ2:1(不溶性食物繊維:水溶性食物繊維)の割合でとるよう心がけてください。
不溶性食物繊維の代表的な食材は、玄米・ライ麦・イモ豆類などです。
一方、水溶性食物繊維が多く含まれているのは、果物・海藻・きのこ類・こんにゃくなどが挙げられるでしょう。
腹式呼吸は腸のマッサージに効果的
腸疲労になると腸の作用が弱まり体外に便を出す力が落ちてしまいます。
そんな時は腹式呼吸を取り入れましょう。
腹式呼吸は腸に刺激を与え動きを活発にさせる効果があり、腸疲労の回復に役立ちます。
腹式呼吸の方法は、鼻からゆっくり息を吸い込みお腹を膨らませるように意識するだけの簡単な呼吸法です。
十分空気を吸い込んだら鼻または口からゆっくり息を吐きましょう。
きちんと腹式呼吸できているか心配な人は、仰向けになってお腹に手をあてて行ってみてください。
腸を疲れさせないために!食べ過ぎを防ぐポイント
食べ過ぎは腸疲労だけでなく肥満や集中力の欠如など、様々な体調変化が見られます。
腸の中に食べ物が蓄積してしまうと、常に腸の機能が働き続けることになってしまいます。
腸疲労を防ぐためには食べ過ぎを予防するようにしましょう。
ここで食べ過ぎを防ぐ4つの方法をご紹介します。
1.ご飯茶碗を小さくする
白米に含まれる糖質は多くとりすぎてしまうと肥満の原因になります。
体内に糖質が入ると一度消化器官で分解された後、ブドウ糖として小腸に吸収される仕組みになっています。
この時ブドウ糖の一部は血液を通り全身に運ばれて体の細胞に吸収されるのですが、血糖値が上昇すると必然的にインスリンが分泌されてしまうのです。
糖質が大量に摂取されてしまうとインスリンによって脂肪細胞へ運ばれていくため、糖質をできるだけ抑えるようにしてください。
ご飯茶碗を小さくし、ご飯を少量で食べる工夫を取り入れるようにしましょう。
2.よく噛んでゆっくり食べるで
時間がない・忙しいなどの理由で、ついつい早食いになってしまう人は多いのではないでしょうか。
早食いは満腹中枢の機能が働く前にどんどん食べ物を詰め込んでしまう傾向にあるため、食べ過ぎてしまうことが多いです。
満腹だと感じるまでの間に胃に食べ物を送りこんでしまうことで、必要以上のカロリーを摂取してしまうことになります。
食事をする時はできるだけゆっくり、よく噛んで食べるようにしましょう。
3.食べる順番を変える
空腹時はどうしてもご飯や肉・魚などのメイン料理に先へ手が出てしまうものです。
しかし、食事内容によって食べる順番に気をつけるだけでも食べ過ぎを抑えることができます。
②サラダ
③たんぱく質
④ご飯またはパン
最初にスープやみそ汁などの汁ものを食べて、胃を膨らませるようにします。
次に食物繊維が多く含まれている野菜や果物などを食べて、脂肪の吸収を防ぎましょう。
肉や魚料理などのたんぱく質は筋肉を作る食べ物と言われていて、筋肉量が増えることで運動しなくてもカロリー消費しやすい体へと導くことができます。
最後にご飯やパンなどの炭水化物を食べるのは、上記で説明した通り糖質が豊富に含まれているからです。
ある程度満腹感が得られれば、自然と食べ過ぎを予防することができるでしょう。
4.睡眠をたっぷりとる
食事と睡眠は全く別の行為ですが、睡眠が不足することによって自律神経が乱れやすくなります。
自律神経が乱れると満腹中枢が麻痺してしまう可能性があるので睡眠をしっかりとるようにしましょう。
体の機能を低下させる腸疲労は食べ過ぎや飲み過ぎ、ストレスなどによってどんどん加速していきます。
腸疲労予備軍の方は自分でできる解消テクニックを取り入れて、健康な腸に戻るよう努力しましょう。
過度な腸疲労が心配される方は、普段の食生活や習慣などを一度見直す必要があります。
プチ断食によって一度腸内から便や毒素を排出し、食べ過ぎに注意することも忘れないようにしましょう。