【医師監修】腸内環境とおならの関係

おなら

おならは生理現象で出てしまうだけなく、腸内環境を知るための大切なバロメーターとしての役割も持っています。
腸内環境とおならにはどのような関係があるのでしょうか?

おならとは

おならは上品な言い方である「お鳴らし」が略されてできた女房言葉で、室町時代にこのような言葉ができました。
現代は公共の場でのおならは、汚いや臭いなどマイナスイメージを持たれていますが、外国ではおならよりもゲップの方が失礼な行為だとされています。

このようなイメージがついたのも、”おならは臭い”とどこか定義付けられている部分があるからですが、おならそのものは腸内に溜まったガスを排出することで、誰でも起こるごく自然な体の働きになります。

おならは約7割が食事や会話などから入ってきた空気で、3割が食べ物が腸内で分解されるときに発生するガスで、吸収されない部分がおならとして体外に排出されます。

大人の場合、1日に約0.5~1.5lの量を排出し5~20回にわたっておならとして排出しているといわれています。
おならの成分は9割が体外から入ってきたもので、1割が体内の微生物によって作られています。

体外から取り込まれた成分には酸素や窒素、二酸化炭素などがありますが、これだけでは臭いの元となる成分はなく、ここに硫化水素やアンモニア、スカトールやインドールなどの成分が加わることで臭いを発します。

つまり、健康な腸内環境を保っていればおならが臭くならないのですが、腸内環境のバランスが崩れてしまうことで、これらの成分の比率が変わってしまい、おならが臭くなってしまうのです。

おならが臭くなる原因

おならの臭いは、腸内環境や体調によって変わってきますが、臭くなる原因はなんでしょうか?
おならが臭くなる原因はいくつかあります。

臭いの元が原因

・硫化水素(腐ったたまごや硫黄のにおい)
・アンモニア(鼻につんとくる尿のにおい)
・酪酸(腐ったバターのにおい)
・スカトール、インドール(便のにおい)

口から入った成分に関しては臭いを発することはないのですが、これらの成分が体内でおならを混ざることで臭いが発生します。
これらの成分は、腸内環境のバランスが乱れたときに発するため、いかに腸内細菌のバランスを整えるかが重要になってきます。

腸内細菌のバランスの変化

本来おならは無臭なのですが、腸内環境のバランスが崩れてしまったことで、臭いを発してしまいます。
腸内細菌とは、消化管(小腸下部)から大腸にかけて常在している細菌で、その種類は1,000種類以上で体内に約600~1,000兆個いると言われています。

この腸内細菌には善玉菌と悪玉菌、どちらの味方でもなく優位な方に味方する日和見菌がいますが、善玉菌は健康を維持するために働き、悪玉菌は病気の原因になるなど害となり、日和見菌は特に良くも悪くも働かない菌です。

腸内細菌の量はほぼ決まっているので、善玉菌が増えれば悪玉菌が減り、その反対に善玉菌が減れば悪玉菌が増えてきます。
ベストなバランスは善玉菌が2割、悪玉菌が1割、日和見菌が7割で日和見菌の割合は変わらないため、いかに善玉菌が2割、悪玉菌が1割の状態を保つことができるかになります。

悪玉菌は、肉などのたんぱく質を分解して栄養分を吸収するために必要になってくるので不要というわけではありませんが、肉などの高たんぱく、高脂肪の食事が頻繁になると、悪玉菌が増えて腸内環境のバランスが崩れやすくなってしまいます。

腸の働きが鈍くなる

長時間のデスクワークや運動不足、体の冷えなどによって腸の働きが鈍くなると、おならのにおいが臭くなることがあります。
長時間のデスクワークや運動不足によって体が冷えた状態が続くと、全身の血流が悪くなり腸のぜん動運動が鈍くなり、便を押し出す力も鈍くなってきます。

腸の動きが鈍くなってしまうと、腸内に食べカスや老廃物が長時間とどまってしまい、腐敗臭やガスも多く発生して、結果的に臭いおならや腸内環境の乱れ、便秘や下痢などを引き起こす原因にもなってしまうのです。

このような状態が続くと、腸内環境の悪化だけでなく慢性的な便秘を引き起こしてしまいます。
また冷えに限らず、自律神経バランスの乱れやストレスなども血流の悪化を招くことがあります。

この場合は、ストレスによって交感神経が高まってしまい、血管が収縮して血流が悪化してしまうことで、腸の動きを鈍くしてしまうことも考えられるでしょう。

交感神経は緊張やストレスで優位になるため、ストレスが腸内環境にも影響してきます。

食事や生活習慣が原因

毎日の食事や生活習慣によって、おならが臭くなることがあります。
臭いのきついにんにくやニラ、ネギ類などを大量に摂取することで臭いがきつくなることもありますが、肉中心の食生活を送ることでも臭いはきつくなります。

毎日きちんとバランスの良い食事を心がけることで改善されてきますが、食事をバランスよく摂らないだけでなく、食事の時間もある程度正しくしなければ排便の時間が乱れたり、排便を我慢してしまったりしてしまいます。

これらもおならの臭いの原因になるため、食事や生活習慣を見直しましょう。

まず、食事の時間は早食いを避けて、何かをしながら食べないようにします。
良く噛まないで食べ物を胃に入れてしまうことは、胃腸に大きな負担をかけてしまいます。

消化を悪くする原因にもなるので、良く噛んで食べることと、食べ過ぎないためにも咀嚼を多くすることが大切です。
肉類やファーストフード、加工食品は消化に負担をかける成分が多く含まれているだけでなく、悪玉菌を増やす原因にもつながってきます。

食事に納豆やキムチ、ぬか漬けなどの発酵食品を取り入れると善玉菌を増やすことができます。
またれんこんやごぼう、さつまいもなどの野菜や海藻類、きのこなどの食物繊維を豊富に取り入れることも腸内環境を整えるのに役立ちます。

食事の時間はある程度決めておき、寝る3時間以上前に食事を済ませておくと良いでしょう。
朝もきちんと朝食を摂るように早めに起床して、体を目覚めさせると副交感神経が優位になり、リラックスして1日を過ごすことができます。

肉食傾向は危険

忘年会、新年会などの年末年始や、イベント時には飲み会や外食が増えてしまうことも少なくないでしょう。
SNSでは、焼き肉・肉食などと言った言葉が散見され、熟成したお肉の美味しさや、ダイエットに効く赤身肉のオススメも絶えません。

日本人の統計的に見ても、現在では「肉・卵・牛乳」をはじめとする動物性の食材を食べる割合が増えており、その一方で野菜や魚などを食べる割合が減少傾向にあります。

野菜や魚の需要が減る中、お肉への需要が高まっており、欧米化してきているのが現代の日本の食文化と言えるでしょう。
しかし、そんな食生活の変化が私たちの身体に悪影響を与えているのも事実です。

肉食による腸内劣化と食生活改善の重要性

近年、若い世代を中心に腸が劣化していると問題視されていることをご存じでしょうか?
肉食が増加傾向にあることで、見た目年齢が高くなったり体調を崩しやすくなったりと良くないことが起こります。

また、大腸がんのリスクを高めたり、過敏性腸炎に発展する可能性もあると言われており、腸をできるだけきれいに保てるよう食生活の改善が必要なのです。

特に、腸内細菌が喜ぶカギは食物繊維とも言われています。
腸内細菌はお腹の中で生きている細菌であり、エネルギー源を必要とします。
そこで、食物繊維が豊富に含まれる野菜を食べることが非常に重要なのです。

食物繊維は、「穀類」と呼ばれるイモ類・豆類・きのこ・野菜・海藻・果物などに豊富に含まれています。
また、水に溶けない不溶性食物繊維と、水に溶ける水溶性食物繊維の2種類があります。

その中でも水溶性食物繊維は、腸内最近のエサになりやすいという特徴を持っており、水溶性食物繊維が含まれる食材を取るとより腸内環境を改善することができると言われています。

水溶性食物繊維を含む食材(一部)は、以下の通りです。

・らっきょう
・青汁
・エシャロット
・切干大根
・大麦
・あんず
・にんにく
・いちじく
・プルーン
・干し椎茸
・納豆
・ごぼう
・じゃがいも
・里芋
・にんじん

麦ごはんやひじきの煮物、きんぴらごぼう、納豆などの日本食には、水溶性食物繊維が豊富に含まれているのが特徴です。

ビフィズス菌を摂ろう!

どうしても肉食が止められないという方は、一緒にビフィズス菌を摂取するように心がけることも大切です。
腸内劣化を予防できるビフィズス菌は、腸内環境を正常なバランスに保つために有効であると言われています。

特にビフィズス菌の中でも大腸まで生きたまま届く種類を摂取することで、腸内環境の改善に役立ちます。
腸内にいる善玉菌が少ない状態になっているという場合は、生きたまま届く種類を選んだ方が良いです。

また、善玉菌はいるが悪玉菌の方が数が多いという場合はビフィズス菌の他に、上記でも紹介したような善玉菌の餌になるオリゴ糖や食物繊維を積極的に摂取すると良いでしょう。

また、ビフィズス菌は胃や胆汁で死滅してしまっても、腸内にいる善玉菌の栄養源になります。
他の乳酸菌の中には逆に死滅させることで効果を発揮する菌もあるので、生菌かどうかはあまり気にせずに摂取してみましょう。

 

腸内環境が改善すると

人間の腸には、約100種類、100兆個もの細菌が住みついていると言われています。
腸内細胞の群れは「腸内フローラ」と呼ばれるものであり、そのうち悪玉菌が1割、善玉菌が2割、残りは強い味方にしようという日和見菌で構成されています。

悪玉菌が強くなって日和見菌もそれに見方すると、毒素を出して病気へとつながる恐れもあるのです。
腸内環境が改善されることで、様々な病気や体調不良を未然に防ぐことができるのです。

また、下痢や便秘の改善も期待できますし、免疫力も高めることができます。
腸内フローラの状態が良い状態になれば、美肌やアンチエイジング効果も期待でき、女性ホルモンの働きを促すこともわかっています。

ほかにも、コレステロール値を下げたり、ストレス疾患や鬱の改善にもなり、まさに良いことづくめなのです。

腸内環境とおならの関係や、腸内環境を改善するための方法をご紹介してきましたがいかがでしたか?
腸内環境が改善されることで、おならが臭いことも徐々に減っていくでしょう。

また、肉食や偏った食生活にならないよう心がけ、積極的に食物繊維を含む食材を取るようにしていくことが重要です。
日本人として、今一度日本食の魅力に気付かなければいけません。
食生活を見直して、腸内環境を整えていきましょう。